僕は現在Webデザイナー的な仕事をフリーランス的にやらせてもらっていますが、ふとこの仕事の将来について考える時があります。
「Webデザイナー 将来」と検索すると、Webデザイナーという仕事の将来性について色々な考察が書かれた記事が出てきますが、どれもあまり明るい内容ではありません。
ですが僕はこの仕事の将来性についてあまり悲観的に考えておらず、別に完全になくなってしまうワケではないと思っています。
でも、現状の大半のWebデザイナーがやっている仕事は簡易化されていってしまうのかなーとは考えています。
ということで「将来もWebデザイナーであるためにどうしたらいいのか?」というところも含めて、僕が考えるWebデザイナーの将来についてお話ししてみます。
・Webデザイナーはなくならない
・将来もWebデザイナーであるためにマーケティングを身に付けよう
Webデザイナーの将来性がないと言われる理由

このWebサイトはサンフランシスコでWebを含めたマーケティングコンサルティングをやっている会社なのですが、そこのCEOの方が書いている記事です。
要約すると以下の理由でWebデザイナーには将来性がないという内容になっています。
・カンタンに高品質なWebサイトが作れるサービスが利用出来る時代になった
・コーディングを自動生成出来るツールが出てきた
・Webサイトの重要度の低下(個々のサイト上の情報は、キュレーション系メディアのサイトやアプリなどに一括して集約される流れにある)
また、すでにアメリカではWeb制作会社はだんだんと減ってきているという話を聞いたことがあります。
アメリカのWeb業界は日本よりも5年くらい進んでいると言われているので日本ではまだそこまで実感がないかもしれませんが、いずれ実感をともなってヤバイと思う時がくるでしょうか。
たしかにこれらについては僕もそうだなと感じていて、記事自体には全面的に同意です。
最近僕は案件のほとんどをWordpressで制作しているのですが、そもそもWordpress自体がかなり効率的にWeb制作出来るCMSであるなと感じています。
プラグインでだいたいの機能が実装出来ますし、ちょこっとHTMLとCSSとクラスやIDの概念がわかれば、初心者に近い人でもわりとカンタンにカスタマイズ出来てしまうなと制作しながら思ってしまいますね。
ですが、それでも僕はやっぱりWebデザイナーが完全に必要なくなってしまうとは思いません。
技術のコモディティ化が急速に起きている
コモディティ化の話の前に少し話が逸れますが、いま世の中の色々な技術が「モジュール化」しているなと僕は感じています。
僕は以前、建設機械なんかのアクスル(車軸)などを製造している会社に勤めていました。
設計部門の人と話す機会がありましたが、彼らはよくこんなことを言っていました。
・昔と違って最近は「モジュール化」といって、機械を構成する部品を一つ一つ特注で作らない
・ある程度のパーツのまとまり(モジュール)をパターン化することで部品を共通化してコストダウンする
プラモで例えると、『Zガンダム』と『νガンダム』のプラモデルを製造しようと思った時に
・胴体と脚の部品たちは同じだから使い回しで良いよね
・頭と腕のパーツだけ新しく作ろう
みたいな感じで設計するイメージです。(Zガンダムとνガンダムは全くの別物ですがあくまでも例です)
こうすることで新しく図面を書く必要もないし、部品の材料も同じものが使えるのでスケールメリット(大量に買って安くする)で調達費を安く出来ます。
他にも加工費や組立工数が少なくなるなど、モジュール化には色んなメリットがあるわけです。
そして、これと同じようなことがWeb業界でも起きていますよね。
僕はWebデザインを覚え始めた頃、マージンやパディング、alignなんかをわざわざクラス毎に定義していました。
<div class="box1">
・・・
</div>
<div class="box2">
・・・
</div>
.box1{
margin-top:10px;
}
.box2{
margin-top:25px;
}
みたいな感じで。
これをやるとあとで修正するときにめんどくさいんですよね。
でもある時、知り合い経由で受けた制作会社の下請け案件で以下のようなコードを見て、なるほどなと思いました。
<div class="box1 mt10">
・・・
</div>
<div class="box2 mt25">
・・・
</div>
.mt10{margin-top:10px;}
.mt15{margin-top:15px;}
.mt20{margin-top:20px;}
.mt25{margin-top:25px;}
.mt30{margin-top:30px;}
これは修正がしやすい!と思ったと同時に、前職の「モジュール化」のことを思い出しました。
Webデザインもレイアウトをパーツとして考えるとかなり効率的に制作できるなと。
この設計思想はヘッダーやフッターをそれぞれ別ファイルとして読み込むWordpressにも利用されていますよね。
そしてその後もBootstrapを知ったり、SASSを知ったりして、Web制作の世界もどんどんモジュール化によって効率化され制作スピードが上がっているのだと知りました。
そしてWixなどのサービスにより、10年前と比べて現在Web制作の敷居はかなり下がりました。
昔はタグを一つ一つ打ち込んでいたものが、今ではUI上でマウスをドラッグするだけでレイアウトが出来てしまいます。
時間をかけて習得したものが、技術の進歩によりカンタンに同じことが出来るようになってしまう。
これが「コモディティ化」ですね。
フィンテックなどのAI関連の本を読むとわかりますが、これらの傾向は今後ものすごい速度でもっと加速していくと考えられています。
フィンテックとは「ファイナンス×テクノロジー」を組み合わせた言葉で、テクノロジーとは特にITのことを指します。
これによって保険会社や銀行はもはや必要なくなり、近い未来にそれらは淘汰されると言われています。
『フィンテック』という本で詳しく解説されています。
デザインやコーディングしか出来ないと淘汰されるかも
こういった現状から、デザインやコーディングしか出来ないというWebデザイナーは将来的にお役御免になる可能性が高いのかなと思っています。
なぜならこのまま技術が進歩すればコーディングは自動、デザインもAIが最適化してパターン化したものを自動で作ってくれる時代がすぐそこまで来ていると思うからです。
「デザインは人がやらなきゃオリジナリティが出ないからムリ」と思うかもしれませんが、反応率やCVの良かったサイトのデザインを何パターンもAIに学習させていけば、業種やターゲットごとに最適なCVRを叩き出すデザインを提案してくれるようになる可能性が十分にあります。
Webスキル×マーケティングが今後を生きていく必須条件
Webデザイナーにとっては恐ろしい時代になってしまう・・・と悲観したくなりますが、それでもやっぱり僕はこの仕事がなくなるとは思いません。
趣味で運営しているサイトは別として、そもそも多くの事業者にとってWebサイトの目的は「売上を上げること」です。
おそらく事業のオーナーからしてみれば、売上が上がるサイトならデザインが汚くたって構わないという人の方が多いでしょう。
そう、ここなんです。
Webデザイナーはこの視点が抜けてしまいがちなのですが、クライアントが求めているのは多くの場合は以下です。
なのでこういう提案が出来るWebデザイナーは今後も必要とされていくし、稼いでいけるはずだと思っています。
つまり具体的にはこういったことです。
・コンテンツマーケティングについての運営アドバイスが出来る(ブログ/SNS)
・オーガニック検索でのキーワードの拾い方を知っている
・SEOの施策とリスティング運用が出来る。
などなど
もしかしたら場合によってはWebサイトに集客するよりアプリに集客した方が良いかもしれません。
そういった提案をまとめて出来て、ワンストップでやれる人は今後もかなりニーズのある存在になっていけると思います。
まとめ
僕の予想ではWebデザイナーというのは将来的には、現在の業務内容よりもっと幅が広がるのかなと思っています。
ただなんか書いてて思ったんですけど、これってもはやWebデザイナーじゃなくて「Webデザインが出来るWebマーケター」なのかもしれません。笑
でもとにかく言えるのは、デザインやコーディングが出来るだけではこの先けっこう厳しい時代がやってくるんじゃないのかなと。
特にHTML/CSSのコーディングはキレイだろうが汚かろうがそこまでWebサイトの価値には関係ないので、付加価値の付けづらい業務です。(コードが汚いとSEOに支障はありますが、近年のCMSベースのサイト構築ではそういった問題もおきづらいと考えます)
ちなみに僕も偉そうに言っていますが全然なので、現在マーケティング・リスティングとSNS運用を勉強&実践中です。
みなさん頑張りましょー!
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